とある社会人ドクターのブログ

研究や読んだ書籍等の話をします

東工大の博士後期課程に入学した話への振り返り

概要

この記事は社会人学生 Advent Calendar 2019の5日目の記事です.
私は東京工業大学博士後期課程に2019年の4月に社会人ドクターとして入学しました.入学から1年弱経ちましたので,社会人と学生の両立などについて振りかえりながら述べたいと思います.

研究室の紹介

私のいる研究室は計測技術,画像処理,情報技術,計算機科学,インターネットの国際標準などの幅広い分野の最新知見を元に防災や都市環境評価を行う研究室です.
現在所属している学生は,フォトグラメトリーの高速化や3D点群の解析を行う学生がメインとなります. コンピュータビジョン技術を実世界に応用・グラウンドさせていきたい学生さんがいたらお声がけください.一緒に研究しましょう.
※所属は明らかにしておりませんので,twitterへ個別にご連絡いただけましたらお答えいたします.

卒業要件

大学院学修案内を引用しますと以下のようになっております.

求められるもの

博士論文研究では,問題解決力に加えて,問題設定能力を培い,さらに英語によるコミュニケーション力の向上 を目指す。これらは学修成果の設定と評価の過程で修得する。また,博士学位の取得に向けては,下図の博士論文 研究の流れに示すように,博士論文研究は,2回の中間発表および論文発表会によってコース全体で統一的に評価 され,さらに専門および語学に関する最終試験に合格することで博士の学位が授与される。

博士論文審査基準

博士学位論文は,都市・環境学分野における,新規性,独創性と十分な学術的価値を持つ自著の論文であって, 主要部分が国際的な水準にある学術雑誌等に掲載されているか,あるいは掲載される水準でなければならない。

博士論文審査実施方法

審査委員会は 5 名以上の審査員で構成されるものとし,他大学,研究機関及び企業等の外部審査員を積極的に 含めることを推奨する。中間発表を経た後に論文を提出し,口頭発表の後,審査員による事前査読を経て,最終 的な審査・評価を行う。最終審査では,関連英語論文を読解させて,当該分野の理解能力を確認する。

スケジュール感

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スケジュール.東工大はクオーター制度なので,こんな表記です.

有名雑誌に採択されることが必須であることが伺えます. 明記はされてませんが,弊専攻では,国際ジャーナル2本,国際会議1本が不文律であるようです.

入学からこれまで

東工大の博士後期課程では,自分の研究に関する単位の他に,キャリア科目・文系教養科目を取る必要があります.平日は仕事があるため,土日に開設させる集中授業を中心にとっています. 平日の朝と夜,休日を使ってドクター関係の作業を行なっています.朝の一番脳が元気な時間帯を使えるのは大きいです.
そんな学生生活について,2019年4月に入学して今までの流れをクオーターに区切って書いていきます.

1Q

  • 環境の整備

    • slack導入
      • 私が社会人博士であるため,研究室にほどんどいないので,同じ3次元ネタの博士後期のメンバーと議論をこまめにすることや,学部・修士の学生に対する指導を行うためにslackの活性化を行なった.
    • deep learningチャンネル
      • 深層学習に関する読んだ論文やネット記事ネタを投げていきます.
      • 後輩に関係ありそうなネタを中心に投げています.
    • 3D チャンネル
      • 深層Deepや3D計測に関する読んだ論文やネット記事ネタを投げていきます.
      • 自分と博士課程の同期にありそうなネタを中心に投げています.
    • CFP
      • 各種締め切りの情報を共有します.
      • Googleカレンダーに登録すると自動で飛ぶように設定しました.
  • 後輩への指導

    • 深層学習とはに関するスライドカラオケ(ネット上に転がっているスライドで説明するやつ)をしました.
    • Pytorchの普及と教育
  • 脳ハック
    現役の学生や世界のトップ学生や宇宙人との殴り合いをしないといけないので,少しでも脳を強くするために以下の脳ハック系サプリを購入.まゆつば物だけど効いている気がする...

    • DMAE

    • L-チロシン

    • L-フェニルアラアニン

    • コリン

  • 研究

    • サーベイと,LiDARの計測原理の勉強を行なった.
    • 計測原理に関しては,シミュレータを組むことにより仕組みを理解した.
  • 授業
    • 博士キャリア
      • 博士をとった後のキャリアに関する概論です.
      • 大学・研究所・民間に行った際にどのように生きていくかを具体的な制度を絡めながら説明してもらう.
      • 研究者として生きていくのならば,「ご機嫌」であることが重要であるとキャリア担当の教員は言っていた.

2Q

  • 研究 

    • 本格的に手を動かし始める.提案手法が本当に効くのか否かを調べるための予備実験を行なった.
  • 授業

    • 文系教養科目の抽選があたり,学内ミニシンポジウムを開催する授業に参加した.
      • シンポジウムの運営側と投稿ミニ論文のエディタ側に別れて作業するのだが,私はエディタ側のグループを選んだ.
      • エディタ側のslackを立ち上げ,爆速で意思決定を行うことができるようにし,班に欠席者(社会人Dが多いのでしょうがない)がいても滞りがなく進むようにした.

夏休みと3Q

  • 仕事

    • この時期から平日の会社での仕事が忙しくなる.
  • 研究

    • 2Qにやった予備実験をIEEE ワークショップに出し採択された.
    • 査読者の意見に対して予備実験を回した.
    • 提案手法を拡張し,別の問題を解くような実験を行う.
  • 発表

    • 東大と台湾国立大学との合同シンポジウムで発表を行なった.
  • 授業

    • プレゼンに関する授業を受けた.
      • 他人の研究内容に関して自分の解釈で発表を行うもので,結構つらい.

4Q

  • 研究

    • 12月に投稿したワークショップに行って発表します.
  • 授業

    • 研究者倫理に関する授業を受ける.

これから

  • ジャーナル化
    採択されたワークショップネタをブラッシュアップしてジャーナル投稿しようと考えています.

  • 会議
    2020年は国際会議が国内開催されるものが多く,ガンガン出していきたい.

  • 生活
    所属会社の方でも爆速で進捗を生みつつ,ドクターの方でも爆速で成果を上げていきたいので,健康面では気をつけていきたい.